2013年12月20日金曜日

行きつく先は英語の壁

 ここ最近、「やっぱり最後は英語か」と英語の強さを再確認する機会が2回ほどあったのでメモ。

 ひとつめは書籍で(細かく言うと電子書籍)、「ニッポン・ダンディ」金曜日レギュラーのモーリー・ロバートソン著『自分を信じていい時代 水平化した世界で生まれ変わる多様性』。これを読んだ直後の感想…「やっぱり英語かぁ」。





 ふたつめは一昨日早稲田大学で行われた、ニューヨーク市立大学大学院のジェレミー・キャプラン氏の講演「アントレプレニュリアル(起業家的)ジャーナリズム」を聞いて。


 主人も興味がありそうな内容だったので二人で行ったのだけれど、まさに今英語ができるできないの壁は大きいと痛感している主人にとっては、イタイところを突かれたようで、ため息をつきながら「やっぱり最後は英語かぁ」と言っていました。ちなみにうちの主人は海外のデザインやアートに興味があって、日本語では提供されないような海外の記事やブログを読みたいのに、英語ができないために情報を収集する段階でいつもくじけます。私はそれを長年横で見ていて、できないのであればできるように努力するしかないとずっと言っているのに、そんな努力はほぼしていなさそう。まぁ、主人に期待してもしょうがないので、その分子どもに同じ思いをさせないようにがんばらなくては。
※このアントレプレニュリアルジャーナリズムの講演は非常におもしろかったので、別のエントリーを立てていつかブログに書こうと思います。

 モーリーの書籍とジェレミー・キャプラン氏の講演は、もちろんそれぞれ無関係でまったく異なるテーマについて語っているのに、ふたりの主張はほぼ同じことです。ものすごくかいつまんで言ってしまうと、「デジタル化が進み、インターネットがあたり前に使えるこの時代では、国境や貧困の差を飛び越えて、みんなが自由に学びたいことを学び、発信したいことを発信できる。だから自分のオリジナリティをもっと大切に育ててBe your own brand.」ということだと思います。

さらにコンパクトに言うと「自分をもっと発信せよ」ということですかね。

 でも、これを効率的にある程度価値のある情報を交えて発信するには、最新情報を世界から収集するために英語が必要。また、知識を学ぶためにMOOCなどを利用するにも基本的には英語が必要。その結果ビジネスになりそうなサイトやプロジェクトができたとしても、それを起業にこぎつけるための社会的バックアップが必要。つまり新しいビジネスに興味を持ち、それに投資してみようと思う投資家のセンスが必要なのだけれど、日本にはそんなチャレンジングな投資家はほぼいない(らしい)……などの実態があるのだけれど、でも「英語」というスキルが備わっていれば、すごくシンプルにクリアできる課題ばかりだと思うのですよ。

 そう、だからやっぱり英語はできた方がいいんだ! と(ずっと前からわかっているのですが)あらためて思いました。日本で生活していて、両親の母語が日本語である以上、息子がバイリンガルになることはまずあり得ないと思うのですが、それでもやっぱり英語はキライにならないで欲しいと、強く心に刻んだのでした。

今日は新しい英語の絵本を2冊購入したので、明日さっそく息子に読んであげたいと思います。



2013年12月5日木曜日

友だちのバイリンガル子育て


先週、2年ぶりくらいに大学の同級生の家に遊びに行ってきました。彼女は大学を出てすぐにアメリカ人の人と結婚して、今は6歳と2歳の男の子がいます。最後に会ったときは2年前だから、子どもが4歳と0歳のとき。この時は、子どもたちが英語を話せるっていう記憶はなかったんだけど、今回遊びに行ったら、6歳の子がしっかり英語と日本語を使い分けていてびっくり!

この友人はバイリンガル子育てに熱心なわけでも、そうしようともしていないのだけれど、旦那さんが英語しか話さない人なので、家庭の会話は英語がメイン。でも今年子どもが1年生になって、学校であったことを話すときの言葉が日本語で(学校で日本語を使うからかな)、日本語の比率が増えてきたと言っていました。

「(子どもが)英語話せるのすごいねー」と言ったら、「でも簡単なことしか言えないんだよ。学校の出来事とかを時系列で話したりするのは、ほとんど日本語」と言ってました。この奥さんは学生の時に1年アメリカに留学していたけれど、ものすごく英会話が得意という訳ではなくて、日常会話は問題ないけれど、意見をしっかり組み立てて言ったり、けんかのときに相手を英語で説得させたりすることまではできないかな、という感じです。(←私もこんな感じ)

もちろんお父さんがネイティブなので、そのパワーは強力なだけれど、お母さんと子どもが過ごす時間が一番長いのに、子どもはちゃんと英語の発音も文法も汲み取って会話ができているところがすごいなと思いました。つまり、英語の基本を理解するという観点からは、ネイティブの英語力がmustではないんじゃないかなというのが私の感想です。もちろん、基本から脱出するためにはさらなる英語環境が必要だけれど、シンプルな英語がわかるという自信がつけば、小学校で英語の授業があってもそれを苦手だと感じることはないんじゃないかな。

私もここ最近子どもに英語で話しかける時間がちょっと少なくなってきていたけれど、このvisitのおかげでまたやる気が出てきました。やっぱりこういうリフレッシュというか、外に出ていろんな環境を見るってすっごく大切ね!

<おまけの話>
この友達の家に遊びに行ったのとは別の日に買い物をしていたら、英語と日本語をちゃんぽんにして子ども(おそらく4歳くらい)に話しかけている日本人のお母さんがいました。ヘアアクセサリなどを売っているお店で、
母:「これ欲しい?」
子:「うん」
母:「No, I don’t like that. Mommy don’t like that. You already have them. (別のアクセサリを指して)Hey this is pretty. Do you want this?
子「うん」
母:「Yeah, let’s get this one. (別のアクセサリを指して)How about this?
子:「No…. I don’t like that.

こんな会話をしていて、もう私は気になっちゃって気になっちゃって、自分の買い物どころではなくなってしまいましたよ。この後も少し聞いていたのですが、やはりお母さんは英語ネイティブではなく、おそらく子どもに英語を教えたくて、自分もがんばっているというタイプに見えました。きっと教育熱心な方なのでしょう。このヘアアクセサリのお店の後にアカチャンホンポのお店でも見かけて、英語のアルファベットのおもちゃを子どもに見せながら、
母:「What’s this letter?
子:「K
母:(何かのおもちゃを見せながら)「How many are they?
子:「Three.
とかやってましたから……。

ここでも、お母さんは英語ネイティブではないとすぐにわかるのですが、子どもの発音はとてもキレイですごいなと思いました。




2013年11月28日木曜日

Monster, Monster



 ずっと英語の絵本の事を書こうと思っていたのに、もたもたしていたらこんなに遅くなっちゃった。というのは、この絵本を購入したのは息子が3カ月のときで、今はもう7カ月になっちゃた……。

 3カ月、4カ月のころは絵本を見せてもとにかく手で触ってみたくて、じっと絵を見ることもなかったのに、5カ月を過ぎたころから絵を見て笑うようになりました。もちろんストーリーなんかわかってないんだけれども、そんなのはいいのです。母親とコミュニケーションがとれるツールのひとつだと思って、うまく使えばいいんですよね。そこで、このMonster, Monsterの絵本、すっごく役に立ちました。

 なにがよいかというと、しかけ絵本なんですよ。Monster, monster, are you the monster?と黒い不思議なかたちをした物体に話しかけて、その物体のところをめくるといろんな人が出てきます。Are you the monster?もほとんどずっと同じ繰り返しなので、いつのまにか子どもにもこのフレーズがしみこんだようで、絵本がないところでこのフレーズを言うとニコっと笑います。

 日本語の有名な絵本『いない、いないばあ』とちかい感覚で楽しめると思います。英語の絵本で0歳児も楽しめるものとしてすっごくお勧めです。

 このあいだ図書館で『いない、いないばあ』も借りて一緒によんでみました。やっぱりすごいですね。「いない、いないばあ」のフレーズはマジックだわ。とっても夢中になっていました。

 子供向けのテレビ番組を探しているときにも思ったのですが、日本のクオリティって本当に高いですね。英語の絵本で0歳児がこんなに夢中になる絵本や番組があるでしょうか。そりゃ、あるんでしょうけれど王道と言えるほどの有名なタイトルがあるのかはナゾです。んー、いろんな国の絵本とか番組とかもっと調べてみたいなぁ。でも、まずは英語圏からよね。

※ヒョエー、今AmazonでMonster, Monster調べてみたら値段が結構高くてびっくりした。
こっちのほうが安い。



英語の赤ちゃん番組

 先週、うちのベビちゃんは7カ月になりました。もうさすがに「ベビちゃん」という感じではないかな。離乳食も一日に2回食べるようになり、顔もお腹も足もお肉がついてきて第一印象は「まんまる!ぷくぷく!」です。たまごボーロもだんだんひとりでつかんで、口に運べるようになってきました。

テレビは控えめに……とは思っているのですが、「ピタゴラスイッチ」と「0655」の5分番組だけならいいかなと(子どもにアマイ!)結局見せています。他にもいくつかの番組を見せたのですが、5分という時間がちょうどよいみたいで、10分以上のものになると集中力が続きません。ただ、どちらも日本語の番組(しかも日本語ありきで成り立っている感じ)なので、5分くらいの英語の子ども番組はないのかと探してみました。でも……そんな都合のよいものはなかなかないんですね。

でもYouTubeにアップされていたこの二つの番組は結構見てましたね。

★Baby Einsteinシリーズ (なかでもこれが好きみたい)
28分くらいあるので、途中で飽きちゃいますが……


★Owl Babies
絵本の動画版。5分弱です。

他にBarnySesami StreetLittle EinsteinのもらったDVDがあったので、見せたのですが、途中で飽きちゃいました。7カ月くらいだと、短くて単純なものがいいんですね。ビジュアル的にもシンプルでわかりやすいものでよい英語のプログラムがあるとよいのですが、日本のEテレのクオリティに及ぶ番組はなかなかありません。Eテレすごいんですね。ユーフラテス、すごい!







2013年11月10日日曜日

TOEIC SWテストを受験してみて

※子どもの教育とはまったく関係ないですが、英語関連ということで書いちゃいます。
ずっと気になっていたTOEIC SWテストを受験してきました。せっかくなので感想を書きます。





公式ページ:http://www.toeic.or.jp/sw/

●受験者の年齢層、男女比は? ―待ち時間に観察
 試験当日は午前の部と午後の部にわかれて2回の試験が行われる。私が受験したのは14:00試験開始の午後の回。受付開始までに待合室でアンケートの記入、注意事項の確認などもろもろの作業を含めて30分ほど待たされる。(この時間、ものすごく無駄だと思います! 長すぎ。もうちょっとコンパクトに進められるハズです)そこで同じ回に受験する人たちが一同に集められるので周りを観察。私の回の受験者は9名(男性:5、女性4)で、女性の方が多いだろうと想定していたので、ちょっとびっくり。
 ちなみに私は33歳。他の受験者は私よりも年上の人にしか見えなかった。(すみません、見た目で判断するしかなかったので、もし年下の人がいたら、本当にすみません)だいたい30代半ばから40代くらい。やっぱり受験料(9975円)がネックなのかしら。

●テスト開始までの流れと受験する席の様子
 待合室で30分待たされたあと、会場に到着した順にひとりずつ別の教室に呼ばれる。そこで写真撮影をした後、PCがある座席の前に案内される。そして、いちばん驚いたのはココ! 案内係の人が「PCの指示に沿ってください」というのでそのままCONTINUEボタンを押したら、マイクの音量を調節した後、なんといきなりテスト本番が始まっちゃうの。私としては、「先にPC操作の注意事項を読んでてくださいね」のつもりでCONTINUEを押したのにー。
 つまり、案内された順に、個人のペースでテストが進んでいくわけ。しかも受験者はみんな同じ部屋にいるので、いくらヘッドフォンをつけても先に試験を開始したひとたちのスピーキングテストの回答が聞こえる。私は3人目だったから、先に二人の人がスタートしていたのだけれど、私の直前にいたのが男性で声が大きいの。しかも、とても英語がスムーズで発音もばっちり。そんなのが聞こえてきたら、こっちは気が気じゃない! 「(となりの人の回答を)聞きたい! でも自分の試験も始まっちゃう、うぅ、私はあんなにスムーズに回答できない!」って感じで、心はドギマギ。いや、これは本当に焦る。これは花マルのテスト環境とは言えないと思います。
 去年、HSK(中国語)のスピーキングテストも受験していて、TOIEC SWはこの試験よりは快適に受験できるだろうと思っていたのだけれど、目の前にPCがあって簡単な敷居で座席は区切られているものの、受験者が感じるフラストレーションはHSKTOIEC SWも対して変わらないというのが私の感想。

※ちなみに私が受験したHSK(口試:初級)のスピーキングテストは、大学の大教室(100人くらい座れる大きさ)に受験者が集められて、4人がけの席に2人が着席。横長の机でもちろん敷居などはありません。そこで一斉にmp3レコーダーのような機械に音声を吹き込む試験が行われるのです。いくら隣の人とひと席空いているからと言っても、100人もの人が同じ部屋でしゃべっているわけです。私は自分の声も聞き取れませんでした。しかも一斉にスタートするので、ひとつの問題について3秒で終わってしまう人もいれば10秒間話続けている人もいて、早く回答し終わってしまった人はちょっと焦ります。中には制限時間内に何度も「あ、まちがえた、もう一度」と言って、言い直しをしている人の回答が聞こえてきたりして、ちょっと笑ってしまったりもします。


●スピーキングテスト
スピーキングの試験時間は20分。短くないですか? もっと長くてもよさそうじゃないですか?
事前にちゃんと確認しておかなかった私が悪いんだけど、苦手なので特に練習していた写真描写問題が1問しかなくてがっかりしました。ちゃんとココに書いてあるのにね。私バカ。それから違和感があったのは解決策を提案する問題で、電話のメッセージに録音されたお客様のクレームに電話で回答するというもの。留守電にクレームが入っていたのは分かるけど、返事を60秒こちらがしゃべりっぱなしっておかしくない? 電話をかけたら会話のやりとりあるよね。それなしで一方的に返事するのって現実味ないよー。最後の意見を述べる問題も難しかったな。準備の時間に日本語で言いたいことはまとめたのだけれど、いざ英語にするとうまく話せなかった。くやしーー。このあたりはちゃんと事前対策しておかないとダメですね。つまり「対策が必要」ということは、ネイティブでも対策しないと満点は取れないつくりだぞ、ということがポイントです。


●ライティングテスト
 スピーキング20分に対してなんとこちらは60分。この1:3の時間の重みの差は打倒なのかどうか私にはさっぱりわかりません。でも私は話す力だけを試したかったので、ライティングで60分も拘束されるというのはイヤだったな。でも1万円払っているのだから、ということでがんばって最後までやり遂げました。ライティングの写真描写は5問もあって、提示された2単語を使って写真を表すセンテンスを書くというもの。これは日本の英語教育がお得意としているジャンルなので、ほぼ問題ないでしょう。
 2問めのEメール作成問題。ひょえー、これが全然できなかった。ちなみに私はネイティブアメリカ人と仕事で毎日英語でメールやりとりをしているのですが、問題に提示されたようなやりとりは一度もしたことがありませんでした。普段やりとりしているメールのノリが軽すぎるのかもしれないけれど、でもお堅い内容でお堅い文章を考えてしまって、これは大失敗。でもね、この時の問題の内容がおかしすぎたっていのもあると思うんだよね。図書館からのメールで、「本の販売を促進したいのだけれどよい提案はないか?」に、少なくとも3つの提案をするというのが問題。え? なんで図書館が本を販売するの? おかしくない? 私はこの段階で考えすぎちゃって、よい提案が3つもできなかったよ。でもさ、今よく考えてもやっぱりこの時の問題はおかしいよ。
 そして、3問めの意見を記述する問題。これは考えればちゃんとわかる(というか意見を出すことができる)問題でした。でも300ワードは書かなくてはいけなくて、私は250ワードくらいしかかけなかったな。


●試験を終えての感想――次に向けて
 まだ結果が届いていないので、どうなるのか本当に楽しみ。手ごたえとしては、自分の実力の50%くらいしか出せなかったような気がする。原因としては、
1)試験対策がほぼできていなかったこと
2)スピーキングテストの時にまわりの人の声が聞こえすぎて集中しにくかったため
3)PCに向かって話すというイメージングが足りていなかったこと
4)ライティング試験の途中で長め&大きい地震が起きて4分ほど気がそれてしまったこと、
などが考えられる。

それにしてもパソコンの画面に向かって話すというのは本当に会話のテストになるのかいまいち疑問です。かなり違和感あるよ。


●学習用テキスト
 今回の試験を終えてみて、とにかくもう少し予想問題をしっかりとくこと、採点のポイントについて勉強しておくことが大切だと分かったのだけれど、SWテストを学習できる日本語の本がぜんぜんないの! 何冊かあるんだけど、どれも回答例が少なすぎて万全準備ができるっていう感じではないです。
 私は知人が韓国から入手したテキストブック(上記画像参照)を参考にしていたのだけれど、なんと韓国ではスピーキングとライティングが別々に受験できるそう。すばらしい! ってか、なんで日本はできないの!? 受験料半額にしてスピーキングオンリーのテストじゃんじゃんやったほうが絶対に日本の将来のためになるって。 最近ちらほらと、韓国のテキストを翻訳したものが数冊出はじめたみたいだけど、受験者としては見やすくてとにかく回答例がたくさん掲載されているものが欲しいので、そういう内容のものが手頃な値段で簡単に入手できるといいなぁ。


 


2013年10月31日木曜日

ピタゴラスイッチ

6カ月の息子が集中して見ていられるテレビ番組を発見しました。
Eテレで放送している『ピタゴラスイッチ』です。



正確には『ピタゴラスイッチ・ミニ』なのでたった5分間の番組! 
(ちなみにミニじゃない、正編版は15分番組です)

ビー玉やピンポン玉がコロコロと転がって、さまざまな仕掛けをクリアしていきます。この玉が転がる様子がおもしろいらしく、じっと見ています。5分というのもちょうどよい時間なのでしょう。
あまりテレビを見せるのはよくないと、いろんなところから聞いているのですが、でも一生懸命に玉を目で追っている子どもの様子を見ていると、「がんばって最後まで見届けて!」と応援したくなっちゃうんです。

なんか『グーニーズ』のチャンクがマイキーの家に入れてもらうシーンを思い出しちゃいます。あのヘソ踊りのシーンです!


2013年10月6日日曜日

『赤ちゃんはコトバをどのように習得するか
誕生から2歳まで』 B・ド・ボワソン=バルディ著



本書は1996年フランスで出版された原書を翻訳したもの。日本での発売年は2008年。
すぐれた科学啓蒙書に与えられるフランスのジャン・ロスタン賞*1996年に受賞。

*ジャン・ロスタン賞:日本語で検索したが詳しい解説のあるページはなかった。Wikiもなし。ジャン・ロスタンについてはこちら(英語wiki


本書との出会い 
 図書館で発見しました。このタイトル『赤ちゃんはコトバをどのように習得するか』は、ずばり、私がものすごく知りたいことです。ところが、読み始めたものの、なかなかゆっくり読書できる時間がなくて(4カ月の子どもがいるんだから当たり前!)、図書館から催促状をもらってしまい、1カ月遅れで返却したものの、2割程度しか読めなかったという……なんともな敗北感。

 でも返却してから、この本を読みたい意欲がグングン高まって、Amazonでポチしてしまいました。古本で1000円くらい。最近は気になったところにペンで線を引くので、図書館で借りるのではダメなんですよね。そして結果、買ってよかったです!……というのは、線を引いて、頭に何度も刷り込ませて理解しないと頭に入ってこないくらい難しい本だからです。論文などを読みなれている人にはそんなに難しい文章ではないのかもしれませんが、私はダメでしたー。でも、そんな私でも読破できたので、こどもの言語習得に興味がある人なら、読んでみていいと思います。

●構成 
 約250ページの本です。大まかな構成は以下の通り。

序論
第一章 乳児は話さない。しかし……
第二章 コトバの出現
第三章 コドモのコミュニケーション世界
第四章 単語の意味の発見 ――生後917カ月
第五章 語彙への歩み ――生後1118カ月
第六章 こどもそれぞれのスタイル
第七章 言語、文化、コドモ
第八章 始語(パロール)から言語(ランガージュ)へ――生後1824カ月
結論
要約――0歳から2歳までのコトバの発達の主要段階(表)


●へぇ、と思ったところをいくつか
 この本を読んでいるとき、私のこどもは生後5カ月になるくらいの頃だったので、第三章「コドモのコミュニケーション世界」くらいの内容までは、「うちの子もそうだった!」「あ、あれがコトバの発達なんだ」と、子どもの発達を目のあたりにしながらわかるところがたくさんありました。

例えば、
45カ月頃になってはじめて、声をいろいろ調整できるようになる。(中略)45カ月ですでに音のレパートリーを広げようとする。一通りすべての発声機能を発達させ、摩擦音や[m:::]という、つぶやくような鼻音、[prrr],[brrr]といった巻き舌の両唇音、口蓋垂音のトリル(トリの鳴き声のような音)といった子音的素性に加え、声の高さ(鋭い叫び声やうなり声)、音のレベル(わめき声やささやき声)といった韻律的素性を操るのである。(p.48

本当にそうでした。45カ月くらいの時に、それまでは聞いたことのない音を発したり、さまざまな音量の声を出したりしました。この著者はフランス人なので、実験の結果やサンプルがフランス語もしくはフランス人の赤ちゃんを基本に書かれています。日本人の赤ちゃんの場合、もしかすると発する巻き舌音などは上の記述とは異なるかもしれません。うちのこどもは、舌を口の外に出し、上唇と下唇の間にちょこんと置いて、息を思い切り吹き出す(唾がものすごく飛ぶ)と出てくる[][]の間のような音でした。それから音量も、大きな声を出すこともあれば、甘えたようなささやき声になったり、ボリュームのバリエーションがとても増えました。

3カ月頃に、しかもほんの短期間「代わりばんこ(ターン・テイキング)」と呼ばれる、今までそれほど研究されていない、奇妙な行動が出現する。(中略) まるで「会話」がおこなわれているような印象を与えるのである。(p.85

そう! これ! 本当に会話をしているかのような声のやりとりをする時期が少しだけありました。おばかな私は、最初「え! もう会話がわかるの?」と勘違いしていたくらいです。私の声に反応して、同じような時間の尺だけ、同じようなリズムで声を返してくれるんですよね。ああ、この時の動画を撮っておけばよかった。

このほかにも何カ月ごろになると子どもがどんなことがわかるようになって、どのようにアクションするのかといった内容がたくさん書かれています。本書のよいところは、アクションの表面だけでなく、子どもの内面でどのようなことが起きているのかきちんと説明されているところです。どれもとても細かい視点でのステップですが、でも知っておくと、子どもを観察するのが楽しくなると思います。


●バイリンガルについて
 バイリンガルについての特別な研究や成果はあまり記されていませんが、気になったところをいくつか。

生後6カ月には、母語において非関与的なカテゴリーを切る境界線は消滅する。(中略)身近なところで聞いている音声構造にはふつう存在しない要素を「聞く」のを怠るようになる。(中略)バイリンガルの家庭のコドモはすべてのコドモと同じく器用に、自分が耳にしている2つの言語を相手に、こうした選択や再構造を並行して成し遂げる。(p.52

 なんでこんなことわかるの? と思ってしまうのですが、本書をちゃんと読むと、これらがどのように証明されたのかさまざまな実験が詳しく書かれています。上記の記述では、「生後5~6か月ごろまでは子どもはどんな言語でも習得できる能力をもっているが、その時期を過ぎると母語以外の音声要素は自動的に聞き取らなくなってしまう」と言っています。
 私としては、母語の決定のタイミングはあまり重要ではないのですが、「母語以外の音声を排除してしまう」というところが一番マズイなと思いました。

コドモの音レパートリーは、母親の音レパートリーのあれこれの特性より、周囲で話されている言語の音レパートリーを反映しているのである。(p.95

 ということは、やはり母親ひとりがひたすら英語で話しかけて、英語をわかってもらおう、いうのは無理があるということなんですよね。んー、日本にいて英語が身近に感じられる場所を見つけないとなぁ。英語が話せるお友達ができるのがいちばんよいのでしょうね。

・・・言語環境は人間的なものでなければならない。つまり物質的にそこに居る人間によって提供される言語環境でなければならない。ラジオやテレビで人が話すのを聞くだけは言語にアクセスできないことが知られている。(p.103

そうですよね。英語のCDDVDを一方的に子どもに見せるだけで、英語が覚えられるわけがありません。これは当たり前です。だって、「聞く、見る」というインプットだけの練習にしかならないですからね。会話するためにはアウトプット、つまり言葉を自ら発する練習が必須だと思います。だから、コミュニケーションとして成立する環境が必要。私もこういった状況に陥らないように、こどもと英語のDVDCDを聞くときは、感想を言ったり、自分のことばで説明したりするようにしています。

●最後に 
 あれれ、ずいぶん長くなってしまいました。手短に感想を書くって難しいです。もっとコンパクトにまとめられる練習をしなくちゃダメですね。


 本書に記されていた内容をいくつかご紹介しましたが、本の中にはもっとたくさんおもしろいことや実験が紹介されています。個人的にはマザリーズ(母親語)についての説明や、さまざまな文化圏におけるこどもの言語習得の違いなどの話がおもしろかったです(アメリカの母親は子どもに対して「早熟」を好むのに対して、フランスの母親は「ゆっくり学べばよい」という姿勢。この姿勢の違いがこどもの言語習得に与える影響など)。ちなみに最後の要約に見開きページに、各月齢でどのようなことができるのかといったチャートが掲載されていて、これがとてもよいなと思いました。

 途中でも少し書きましたが、本書の中には日本人の例も取り上げられていますが、ほんの少しです。基本的にはフランスのこどもにおいての説明がメインなので、できれば本書の後半部分の内容を日本のこどもの場合に置き換えて、理解してみたいなと思いました。もし、そのような本があれば教えてください。また、冒頭にも書きましたが、本書はフランスで1996年に刊行された書籍です。今は2013年だから、17年も前の本。きっと、これより後になってわかったことや新しい実験もたくさんあるはず。そんなことがわかる本もあれば、ぜひ読んでみたいと思います。


●<メモ>参考文献からひろった読んでみたい本
邦訳があると記されていたもののみ。フランス語、英語の原書本で読んでみたい本もたくさんあるけれど、ひとまず日本語から。

『ことばの進化論』デレック・ビッカートン著 1998

『文法理論の諸相』ノームチョムスキー著、安井稔訳 1970

『言語と精神』ノームチョムスキー著 1996

『言語を生み出す本能』スティーブン・ピンカー著 1995

2013年9月26日木曜日

スタート



20134月に第一子が生まれました。男の子です。
バイリンガルに育てられるとは思っていませんが、できる限り英語に慣れ親しんでほしいと思っています。

私は日本で生まれて日本で育ったアメリカ+日本のハーフです。アメリカ人の父は日本語がペラペラで、母がほぼ英語が話せないため、子どものころから日本語で育てられました。それがなぜか高校にあがるときに、父から「アメリカの高校に行きなさい」と言われて、16歳から約1年半アメリカの高校に通いました。初めてひとりで乗った飛行機はUnited Airlineでスチュワーデスさんはほぼ全員アメリカ人。What would you like for drink? と聞かれて、本当はオレンジジュースがよかったのに英語でorange juiceと発音するのに自信がなくて、飲みたくもないcoffee(これなら発音できた)を注文してしまったのを今でも覚えています。

 アメリカでの高校生活はとても有意義で楽しかったのですが、「なんでこんなに英語を話すのに苦労しなきゃならないの? 私が小さいころからお父さんが教えてくれればよかったのに!」とずっと思っていました。私が英語圏で生活を始めたのは16歳。もう第二言語の臨界期はすぎていたので、ネイティブ並の英語力は身につけられていません。でも日常生活に必要な英会話、ビジネスで必要な英会話くらいならなんとかできるようになりました。現代において、特に英語においては、そもそも「ネイティブってなに?」というくらいいろんな英語が存在すると思います。インド人の英語も、中国人の英語も、日本人の英語も全部英語です。お手本とすべき発音や表現、リズムやイントネーションはあると思いますが、自分がネイティブでないということで引け目を感じる必要もないと考えています。

 私の大学での専攻は国際関係学。学生のころに言語学や児童心理学などの分野に出会っていたらどんなによかっただろうと最近本当によく思います。というわけで、言語学についてなどの知識はほぼゼロですが、自分で調査したことや学んだこと、子どもと実際にやってみたことの体験などを記録としてこのブログに記していきたいと思います。