2014年3月26日水曜日

ことばの発達の謎を解く 今井むつみ著(2013年)




新宿から電車で90分ほどかけて自宅に帰るのに本が無性に読みたくなって、ルミネの本屋に寄ったら、面出しされていた今井むつみ先生の名前が目に飛び込んできて、即購入。去年、玉川大学の赤ちゃんラボに参加したことがあって、そのラボの一員に今井先生の名前があったのを覚えてたのよね。

今井むつみ先生研究室HP

玉川赤ちゃんラボ

 ここ数週間ずっとフィクションの小説漬けだったから、言語学についての研究や学問についての文章を読むのはとても新鮮で面白かった。私が直接興味があるのは、子どもが言語を学ぶ過程と、その中でも2言語を同時に学ぶ(つまりバイリンガル)ことについてなんだけど、いろんな記事や文献を読んでいると、面白い研究をしている先生や学者の人たちを知るようになって、あちこち寄り道しちゃうんだよね。でもこの寄り道がすごく好きです。
 この今井先生の本も外国語を学ぶことに直結した内容ではないけれど、今まで知らなかったような視点でことばを学ぶことについて触れることができて、非常によかった。


読みながらdog-earしたところをメモ。

・文章の区切りを知るということ。

・英語は発音の正確さよりもイントネーション、アクセントが大切=シェラトン

・目が見えない、音が聞こえない、ヘレン・ケラーの話
ことばは伝えあうためのものだ、ということに気づく。

・子どもがことばを理解するステップ
1)モノに名前がある、2)動作に名前がある(その他に色・模様・気持ちなど)

・「同じ」の基準について――「数えられる」「数えられない」の区別

・メンタルレキシコン「心の辞書」
私たちは記憶の中に何万語もの単語を持っていて、人の話を理解し、文章を読み、自分の言いたいことを表現することができます。

※メンタルレキシコンと言えば門田修平先生。
この本、途中まで読んでそのままになってる……。もう一度読み直そう。



・「アゲル」「モラウ」「クレル」 日本語って難しい!
I gave you a present. プレゼントをあなたにアゲル
He gave me a present. 彼が私にプレゼントをクレタ
I got a present from grandpa. おじいちゃんからプレゼントをモラッタ
英語では全部giveなのに!

また、日本語ではおんぶと抱っこを言い分けるのに対し、英語はcarry
Carry me on your back. / Carry me in your arm. / Carry me.
「背中で抱っこ」という表現。(俵万智さんの『ちいさな言葉』より)


・動詞の役割を果たすオノマトペ
「エイってする」「ポーンってする」「チョキチョキする」
確かに! オノマトペって動作や感情を音で表現したものなんだということは理解していたけれど、それを動詞として使っているという感覚はなかったから新発見。さらに、それが子どもが動詞の使い方をマスターするのにかなり重要な役割を果たしているんだなとわかりました。
そもそも「オノマトペ」とは、フランス語で擬声語を意味する言葉だそう。それすら知らなかった!

そういえば、オムツをゴミ箱に捨てに行くときに子どもが自分で行きたがるので、私も最近よくLet’s go ポイ.「ポイしに行こう!」って言ってる。


・「アナロジー」とは
日本語では類推。すでに知っていることを使って、それと似ている未知のことについて推測するという推論。キーになるのは「似ている」ということ。
例)手を怪我した子どもに「手当てしてあげるね」と言ったら、「違うよ。足当てだよ」と。

英語でもerをつけると人を表すんだというアナロジーが働いて、cookerと言うことばを作る子どもがいたり。
 子どもがつくる新しいことば。うちの子がどんなことばを創造してくれるのか今から楽しみだ。


・大人の外国語の学習――「本当に知っている」とは?
wearという単語を日本語に訳すと「着る」。だけれども英語で「洋服を着る」と言うときにはwearではなくput onを使う。確かに。この本を読んでハッとしたよ。子どもに服を着なさいというときはGet dressed. / Put your jacket on.などと言うので、wearは使ってないね。解説によると、

日本語では「衣類を身につける」ことを表す動詞は、身につけるモノによって言いわけます。例えば着る(上着、ドレスなど)、履く(ズボン、靴など)、かぶる(帽子)、かける(眼鏡)、する・つける(アクセサリー、香水)。一方、英語ではヘアスタイルや「香水をまとう」という意味でもwearを使います。

そうだよねー。ふむふむ。こういうところに気が付けるところがさすがだよね。普段使っていることばについて、ちょっとだけ立ち止まって考えてみる、こういう作業がなかなか難しいんだよね~。

つまりひとつの言葉の境界線は言語によって異なるのね。それを感覚的に身につけて、使うことができるようになるということも含めて外国語の学習なのね。赤ちゃんの場合は、この境界線が自然にできているけれど、大人が学習する場合にはとくに、この境界線の違いに注意を向けることが重要。


・保育士さんと子どもの会話の研究――数学能力についての調査@アメリカ
終章(p.230)に興味深い研究の話がありました。保育士さんの数学語りの量と質が、子どもの数学能力に影響するという内容です。終章なのでちらっと触れているだけですが、もうちょっと具体的に知りたいと思い調べてみたら、この研究の論文がネットにありました。(参考文献のところにちゃんと書いてあったので、すぐ見つかった)

英語で論文読むのって結構疲れるんだよね。でも読んでみよう。


・やっと「認知科学」の理解の仕方がわかった
言語学とか社会学っていうのは漠然とどういう学問なのかわかるような気がするんだけど、認知言語学とか認知科学っていまいちつかみどころがなくて、よくわかっていなかったんです。でも今井さんの終章を呼んで「なるほど、そういうことね」と理解しました。

認知科学は人間を理解するための総合科学です。人はいかに考え、問題を解決し、意思決定をし、学習し、記憶するか。外から目で見ることのできない人の心の働きを科学的に明らかにしようとする学問です。(中略)そこで私は「言語」に焦点を当て、人が言語を学習する過程と、言語を理解して使う時の心と脳の仕組みを科学的に明らかにし、そこから人間全体を理解したいと思い研究を続けています。

・おすすめの本の中から読んでみたいと思ったものメモ




そして今井むつみ先生の新刊は早速ゲットしました。小説サイズのつくりなんだけど、1470円って結構高いよね。でもそれだけ内容があるんだと思います。同じジャンルの本を続けて読めないないので、しばらくしてから読みます。(こうやって積読本になっていくんだけどね……)。







2014年3月18日火曜日

Dear Zoo (0歳児の英語絵本)


By Rod Campbell

この絵本を買ったのはクリスマスより少し前くらい。
ということはやっぱり息子が8カ月くらいのときだわ。でも最初に読んであげたときは反応がほとんどなくて、
途中で飽きちゃったんだよね。それまで読んでいた絵本より判型が小さかったのでインパクトがなかったのかな。
フラップ式なのでめくれるしかけがあるんだけど、イマイチ彼の好みにはまらなかったんだろうね。

きっと、ページをめくって何かお決まりの顔が「ばぁ」と登場するとか、読み手のお決まりのアクションがあると腑に落ちやすいんだろうけど、
この絵本はストーリーが絡んでくるからそのへんが難しかったのかな。おそらく「英語」っていう言語の問題じゃなくて、登場する動物になじみがなかったことが大きいのかなーと思います。それまで読んでたWho Says Woof?はイラストのインパクトもかなり大きいし、必ず鳴き声が登場するからいろいろ読み手も工夫ができるんだけど、Dear Zooに登場するのはキリン、ヘビ、ライオン、カエル、サルなどなので、「Look, he has loooooong neck」「Snake gonna get you and bite you, zheeeeeeeeee」とか言っても、動詞も形容詞も難しいもんね。やっぱりシンプルな音とお決まりのアクションが大切なんだろうな、0歳児の絵本には。

でも、今10カ月になった今はそれなりに最初から最後まで通してお話を聞いていられるようになりました。

・この絵本で勉強になったのは、まず絵本は(特に小さい子に読んであげるための絵本は)値段が多少お高くても判型の大きいもの、そしてペーパーバックよりも紙のしっかりしたボードブックを買ったほうがよいということ。

・しかけがあるからと言って必ずしも子どもがよろこぶものだとは限らない、ということ。つまり、言語が英語なのか日本語なのかということよりも子どもが理解しやすいパターンになっているかどうかということのほうが重要。もちろんどこかのタイミングで言語の要素が重要になってくるんだろうけれど、810カ月の時点ではまだ言語のしくみには左右されていないよう。



The larger also serves for the smaller.

(おまけ)
作者のRod CampbellさんのHPなんだけど、Dear Zooの派生商品の数が多すぎてちょっとやりすぎな感じが……。

2014年3月16日日曜日

もこ もこもこ

谷川俊太郎・ぶん ,元永 定正





なんなんだろーねー、この響きのヒミツは。
最初は「もこ」の音に反応してよろこんでいたのだけれど、お気に入りの響きが「もこ」→「にょき」→「ぷぅ」→「ぎらぎら」と変化していて今は「ぎらぎら」のページがピークみたい。ピークのページが来るとよろこんで、にこにこしながら読み手(私)の顔を見ようと振り向くの。「そうそう、このページを待っていました!」みたいな顔して(笑)。なんか読んでる私も笑っちゃう。

この絵本を初めて手にしたときに思ったんだけれど、こうやってことばを使って音遊び(この絵本もオノマトペのくくりでいいのかな)ができる言語って、世界中で日本語のほかにあるのかな。日本語オリジナルだよね、きっと。英語の絵本と並行して日本語の絵本を読んでいると、ほんと日本のことばのクオリティの高さに驚かされるの。オノマトペ、万歳だよ。オノマトペ、すごいよ! 子ども(特に赤ちゃん)とコミュニケーションをとるときにオノマトペって一番使うよね。『赤ちゃんはコトバをどのように習得するか誕生から2歳まで』 B・ド・ボワソン=バルディ著にも、日本の母親はオノマトペを使って子どもと話す傾向があるって書いてあったし。

NHKEテレの『にほんごであそぼ』『ピタゴラスイッチ』なんかもよく見るのだけれど、『にほんごであそぼ』はもちろんだけれど、『ピタゴラ』のほうも日本語だから成り立つコンテンツの割合が高いような気がするよ。(パタトカクシーとかね)


知人に、子どもをふたりインターナショナルスクールで育てて、ふたりともアメリカの大学に進学させたという人がいるのだけれど、彼女の話を聞いていると、インターという環境だからこそ母語(日本語)の素地をしっかりさせておかないとダメって言ってました。それにはいろーんな理由があるのだけれど、外国語を勉強する上でも国際社会で生活していく上でも「基盤」(つまり自分のアイデンティティとしての母語の確立)を作り上げておかないと、価値観が定まらずフラフラになっちゃうんですよね。私も最初は自分の子どもを完全なバイリンガルにするのが理想だったけれど、この人の話を聞いて、日本人としてのコアな部分はやっぱりちゃんと持っていてほしいなと思うようになりました。

だから、日本語の絵本もちゃんと読んであげたいと思います。


特に『もこ もこもこ』はこどもの想像力と情緒をはぐくむのに最適な絵本だと思っています。英語の絵本でこのタイプの絵本に私はまだ出会ったことはありません。(ドクタースースとかもちょっと違うしね)


谷川俊太郎さん、すごい! オノマトペ、すごい!(ピタとゴラ風)


<おまけ>
谷川俊太郎さんは現在82歳。Officialサイトがあって、見てみたら、なんかいろいろおもしろいことにチャレンジしていてすっごくいいなとおもいました。動画を作ってみたり、写真にチャレンジしたり、詩集をメルマガじゃなくて郵送で送るこころみをしてみたり……。ツイッターもあるんだよ。今までは絵本の作家さんとしてのイメージしかなかったけれど、いい意味で谷川さんのイメージがくずれて、これからもっと追っかけようと思います。

2014年3月15日土曜日

Who Says Woof? (0歳児の英語絵本)




息子はもうすぐ11カ月になります。早いなぁ。
810カ月の間にいろいろな英語の絵本にチャレンジしているのですが、しばらくずっとあれやこれやで忙しくてここに記録できていませんでしたー。でもちゃんと残しておきたいという気持ちだけはあったので、メモだけしていた状態……。で、やっと時間に余裕ができてきたので今日からしばらくちょこちょこ書いていきたいと思います。

うちの0歳児が楽しんでいる英語の絵本第2弾はWho Says Woof?
(ちなみに第1弾はMonster, monster!で未だに息子のお気に入りです)

Who Says Woof?は8カ月くらいのときに読み始めてから結構気に入っているようで、読んであげると声を出して喜んだり、自分からページをめくりたがったりします。
この絵本のよいところは、動物のイラストが大きくて背景がシンプルなこと。大きな絵本のキャンバスの中にオメメの大きな赤ちゃん動物が見開きページに1体だけ登場します。ページをめくったときに新しい動物が出てくると、子どもは動物と目が合うような感覚で対面するので動物に親近感が持てるんじゃないかなと思っています。

Monster, monsterもそうだったけれど、0歳児の絵本はストーリーはあまり重要ではなくて、子どもが「次は何がでてくるのかな?」「どんな音(声)がするのかな?」と好奇心を抱くことができて、子どもが想像したとおりになるような展開のシンプルな絵本がいいんですね、きっと。
この絵本は単純な展開の割に10種類もの動物が登場するので、子どもは途中で飽きるのかなぁと思いきや、しっかり最後までのめりこんでいました。英語もとても簡単。ただ、単純なだけに、読み手もあの手この手でいろいろと工夫してあげるといいですね。

私はMonster, monster!も同じ手法ですが、ページをめくるまえにKnock, knock, knockと言ってドアをたたくような動作をして、Who is it?と声をかけています。特に手の込んだことではありませんが、このお決まりの動作をすることで子どもが先の展開を予測しやすくなっているのかなと勝手に思っています(そして自分の予想通りのオチになるので大喜び、(笑))

いろいろ試していますが、英語の絵本で0歳児が楽しめる貴重な絵本の1冊だと思います。

我が家の殿堂入り!(クックパッド風)


※写真はMonster, monster。Who Says woof?の見開きはここにあります。Amazonでも中身を見られるんだけど見開きの状態のページが見られないんだよね。見開きのイメージ大切だと思うよ、>アマゾンさん。